全国お雑煮調査

このページは、2010/05/26のブログ記事「「お雑煮をめぐる冒険」の始まり」と、2010/06/10のブログ記事「お雑煮マップ」を編集したものです。

三重県の伊賀市にいるとき、お雑煮の餅の形・味付け・具について地元の人に聞き始めました。

せっかく地元の人と話をするのだから何か尋ねることがないかと考えていたときに、「各地のお雑煮の違い」を聞こうと思いつきました。「お雑煮」は、地域ごとに特色があると聞いていたためです。

「旅の“おまけ”として、地元の人と話すついでに聞こう。」と始めたのですが、これがめちゃくちゃ面白く、3日もしたら、僕の方から道行く人に声をかけるようになり、お宅訪問までして聞いたりもしています。


それから、約8ヶ月の間、その土地土地で尋ねた「お雑煮」のことをGoogleマップ上にまとめてみました。

それが、リンクリストにも入っている

お雑煮マップ 1(三重・奈良・大阪)

です。
ここには、前回の旅の間に三重・奈良・大阪で聞いた、約1300件のお雑煮の情報を登録してあります。

東京に帰ってきてからも、少しだけですが、「お雑煮について」聞いています。

そちらの「お雑煮」については、

お雑煮マップ 2(関東甲信)

に登録してあります。
これからしばらくの間、このマップに書き加えていきます。

■お雑煮マップについて


お雑煮のアイコンは、
  • 餅の形
  • 餅の状態(焼or煮)
  • 味付け
で分類しています。

具に関しても、地域によって違いがあります。
具はアイコンで区別することが難しいので、言葉での説明だけにしています。特に気になった違いは、ブログに書いていきたいと思っています。ダシについてはこちらから尋ねることはないのですが、話の中で教えていただいた時は、記入しています。

また尋ねた人の年齢(世代)も記録しています。
  • 世代によって雑煮が違うのか?
  • 世代における雑煮の移り変わりがあるのか?
を知りたいと思ったからです。

Fは女性で、Mは男性。
独断で、70歳、55歳、40歳、20歳で世代を分けています。
尋ねた人の年齢に関しては、僕の直感で判断しているので、けっこう違っているかもしれません(汗)。

どちらかと言えば、女の人にお雑煮のことを尋ねています。

女の人の方が、家の外で庭の手入れや家事仕事などをしていたり、スーパーなどのお店にいたり、井戸端会議をしていることが多いからです。また、実際にお雑煮を作っていることが多い女の人の方が、詳しく覚えていることもあります。

※お正月は男の人が台所仕事をするという「しきたり」もあります。


また、お年寄りの方に尋ねることが多いです。
世代の違いも知りたいのですが、どちらかと言えば、お雑煮の地域における違いを知ることに重きを置いているので、お年寄りの方に昔ながらのお雑煮について尋ねてしまいます。

雑煮の違いは、年月が経てば経つほど失われていきます。

雑煮の地域性が失われていく理由として、

  1. 食の多様化
  2. 交通網の整備
  3. 家意識の崩壊
  4. 各地域に住む人々が、生き抜くために一致団結して協力する必要性の消失
  5. 雑煮における「神人共食」意識の廃れ
などが思いつきます。
他にもいろいろな理由が絡み合っていると思います。

そういうわけで、現在、地域に伝わる特定のお雑煮一色になることは、ほとんどありませんが、何人かの人に尋ねると、その地域に伝わるお雑煮の数が多くなるのがわかります。
「この地域の雑煮はこれだ!」と断定することはできませんが、「この地域には、このような雑煮が多い。」ということはできそうです。

峠や川などの自然の障害を越えると、それまでとは趣の異なるお雑煮が飛び出し、「違う国に来た!」と実感します。
他にも、お雑煮は江戸時代に庶民まで広まったと考えられるので、江戸時代の藩の区分も無視できません。

聞けば聞くほど、お雑煮の奥深さに圧倒されます。

雑煮に関連して、僕が感じた(なんちゃって)世代観について少し書きます。
F1・M1:70歳以上
戦前世代。この調査の主役。地域の雑煮の第一の伝承者。柳田国男が大正時代に嘆いた「失われゆく地域性」は、いまだ、この世代に健在している。自家菜園の野菜を融通しあったり、お味噌を作ったり、“全てが乏しかった時代”の習慣を変わらず続けている(特に山の中)。餅へのこだわりは強く、餅は大切な思い出の1ページを飾っていたりする。話をしていると、いつの間にか戦争のころの話に。脳裏に刻まれ、忘れることができない悲しい記憶。その熱い物語を聞いてると、時の経つのを忘れ、共に涙することも・・・。
F2・M2:55~70歳
戦後世代。地域性は薄れるが地域への愛着の強さは感じる。その地元の出身じゃない人が多くなり始める。はじめ、「私よりもっと年寄りが知ってる。」と言われるのに驚いた。この世代はまだまだ若い。
F3・M3:40~55歳
高度経済成長世代。お雑煮は変わりなく食べているが、「元旦はみそ、2日はしょうゆ」など、色々なお雑煮を楽しんだり、「昔は餅を煮ていたが、今は焼いている。」など、地域固有のお雑煮から離れ、独自のお雑煮を作る人が多くなり始める。
F4・M4:20歳(社会人)~39歳
僕を含む若者世代。雑煮へのこだわりは、正直うすい。小さなころから、世界中の食を楽しめ、多様な価値観にさらされていた。お餅やお雑煮は「好きじゃない。」「食べない。」と言う人もちらほら。雑煮への思いを繋ぎ止めておくのは難しい。
F5・M5:~20歳(学生)
次代を担う世代。彼・彼女らの時代のお雑煮は・・。

0 件のコメント:

コメントを投稿